Go To トラベルに係る会計処理

今回は、注目されているGo To トラベルについてまとめました。

ニュースでよく見かけるGo Toキャンペーン
実際に利用してみないとどのくらいお得なのかわかりませんよね。
そして、会社の出張費としてGo To トラベルを使った際にどのように経理処理をすればよいのか
従業員との精算はどのようにすればよいのか、例を挙げて解説いたします。

1.Go To トラベル事業について


 国内旅行を対象に宿泊・日帰り旅行代金の1/2相当額を支援。
・実施期間:2020年7月22日~2021年1月31日予定
(政府は延長の方向で調整中)
・対象人物;国内旅行者(訪日外国人旅行客は対象外)
・対象商品:国内旅行(宿泊・日帰り・交通付き宿泊、日帰り旅行)
・補助金額:旅行代金の35%割引、15%部分を旅行先の登録加盟店で使える「地域共通クーポン」を発行。
      1人一泊当たり2万円が給付上限。日帰りの場合、1万円が上限。
      連泊や利用回数の制限なし。
・申込方法:旅行者はキャンペーンに参加する旅行会社やオンライン予約サイト、宿泊事業者から申込可能。

※地域共通クーポンは2020年10月1日以降の出発から対象。
それまでの旅行の場合、地域共通クーポンは付かず、旅行代金の割引(旅行代金総額の35%)が対象。

2.税務上の考え方


35%割引部分と、15%クーポン付与部分の取扱いについてのポイント

• 旅行代金の値引きではない。
• 旅行業者の販売する旅行商品の対価の額は変わらない。
• 旅行代金の総額が消費税の課税対象になる。

旅行代金の充当、地域共通クーポン、いずれも会社の出張などで宿泊等をする場合も給付の対象となりますので会社で利用した場合、会計処理が通常とは異なります。
しかし、10/30 観光庁より11月から観光を主な目的としない旅行を対象外にするとの発表がありました。今後は出張手配用の予約サイトを対象外にするほか、出張でのキャンペーンの利用は控えるように呼びかけを義務付ける方針だということです。制度変更は11月6日以降の予約する際から適用されるそうです。

それ以前に会社の出張でGoToトラベルを利用した方向けに例を挙げて解説いたします。

〈例〉会社の出張でGoToトラベル対象の旅行商品22,000円(税込)を購入する場合、出張者は現金等で14,300円(65%)を旅行業者に支払い、
残額7,700円(35%)はGoToトラベル事務局が旅行業者に支払うことになり、3,300円(15%)→3,000円のクーポンが付与されます。

この場合、会社が出張旅費等で計上する課税仕入れ金額は税込22,000円となります。
充当された金額7,700円と付与されたクーポン3,000円の会社の経理処理としては、国からの補助金となりますので、不課税取引となる雑収入などで計上することとなります。
旅行代金の補助を受けたとしても、旅行業者が販売する旅行商品の対価の額は変わらず、当初の旅行代金全額を費用として認識し、消費税の課税対象にもなるとということになります。

3.具体的な会計処理


例えば、1泊2日の出張で旅行代金が22,000円(税込)の場合、7,700円が旅行代金の割引となり、3,000円が地域共通クーポンとして配布された場合です。
従業員が立替え、後日会社が精算するとします。

《出張旅費精算時仕訳》

仕訳例 ①従業員と会社との間で旅行代金の割引を認識する場合
旅費交通費 20,000円 / 現 金 14,300円
仮払消費税  2,000円 / 雑収入 7,700円(消費税不課税)

仕訳例 ②従業員と会社との間で旅行代金の割引を認識しない場合
旅費交通費 20,000円 / 現 金 22,000円
仮払消費税  2,000円 /

4.地域共通クーポンの取り扱い


10月からは地域共通クーポン(地域共通券)の配布も始まりました。
旅行先での商品や飲食等の支払いに充てられるというものです。
地域共通クーポンは,旅行者が地域共通クーポンの取扱店舗に支払う商品代金等の一部を国が負担するものです。
この場合の消費税の課税関係について、旅行代金の充当と同様に、販売商品の対価の額は変わらず、その販売商品の対価の全額が消費税の課税対象になることとなります。
また、従業員個人が地域共通券を受け取る場合には、従業員の一時所得になると考えられます。(年間50万円までなら控除枠がありますので考慮する必要はありません。)

例えば、取引先への手土産購入に使ってもらうという場合には次のように処理します。

《出張旅費精算時仕訳》
例えば、3,000円が地域共通クーポンとして配布された場合

仕訳例 ①従業員と会社との間で地域共通クーポンの利用を認識する場合

■従業員が地域共通クーポンを使い切らなかった場合

 接待交際費  2,000円 / 雑収入 2,160円(消費税対象外)
 仮払消費税   160円         

■従業員が地域共通クーポンを使い切り差額を立替えた場合

 接待交際費  5,000円 / 雑収入 3,000円(消費税対象外)
 仮払消費税   400円 / 現金  2,400円

地域共通クーポンは値引きではなく、給付を受ける形になるため、消費税は不課税取引となる雑収入などで計上することとなります。

仕訳例 ②従業員と会社との間で地域共通クーポンの利用を認識しない場合

 接待交際費  2,000円 / 現金 2,160円(消費税対象外)
 仮払消費税   160円    


 

5.まとめ


ここまで、仕訳例①と②と挙げて解説してきましたが、まずは会社での取り扱いを明確に決めておくと良いかもしれません。
会社での取り扱いが決まっていれば、会計・税務処理もスムーズです。

出張の多い会社では経理方法によって消費税の負担が大きく違ってくる事となりますので注意が必要です。
適切な会計処理を行いましょう。