事業承継 -次世代につなぐために-

経営者の大仕事と言える事業承継。会社を未来へ繋いでいくということです。
しかし、国内の4割以上の中小企業は後継者不足で課題を多く抱えています。

【例えば】

  • 後継者や経営権の問題
  • 株式の相続や納税資金の準備
  • 遺産分割の紛争予防 など

会社では社長と社員の関係も、家に帰れば親と子。
感情的になってしまい話し合いがうまくいかない場合もあります。
親族以外の人への承継もまず方法が分かりません。
そうした問題にも、外部機関と連携するなど様々なアプローチで最適なアドバイスをご提供し、承継をサポートします。

解説者

ここで具体的な事例を見てみましょう。

A社の成功事例(親族承継)

A社の成功事例(親族承継)

社長は早くから事業承継の計画を立てていて、65歳になったら40歳になる息子に事業を承継すると決めていました。
社長は会長等に残ることなく、会社のことはすべて後継者に任せることにして経営から完全に引退をし、陰で息子のサポート役に徹することにしました。
周りの経営者仲間で、会長に退いた後も後継者に口出しして社内がバラバラになってしまっていた人がいたので、自分はそうなるまいと後継者に経営の口出しはしないと決めていたのです。
後継者もそれを感じ取ってか、社員や周りの人に対して前社長の功績や存在価値を話して、前社長を立てる事を忘れませんでした。
A社の事業承継はうまくいき、良いチームワークで回っています。

\ 成功のポイント /

  • 前社長の潔さ
  • 退任後に口出しをしないことを徹底した
  • 新社長の父への配慮

息子はいくつになっても子供に見え、親はいくつになっても親心は無くならないものです。
しかし、息子と会社の将来の成功を願い、一人の大人として、社会人として、経営者として認めてあげる、すなわち「信じてあげる」ことが、「一切口を出さない」という行動に表れたのだと思います。
息子も父を立てることで、父を慕っていた人たちを味方につけることに成功しています。改革や新しいことへのチャレンジは大事ですが、それと過去を否定することとは違います。前任者の築いてきた過去にきちんと感謝する心が、成功に繋がっていると思います。

A社の事業承継はうまくいき、良いチームワークで回っています。

B社の成功事例(第三者承継)

B社の成功事例(第三者承継)

創業社長は74歳。そろそろ事業承継を考えていましたが、子供がいないため従業員A氏(32歳)への承継を考えていました。
しかしながら、A氏の人生経験や業務経験が浅いことや、社員との円滑なコミュニケーションをとれるか等を不安に思った創業社長は、自分は会長に退き、60歳の副社長にA氏の補佐を頼むことにしました。
A氏は経営に積極的で、今までの会社の問題点を洗い出し、改善するように動いていました。
創業社長と副社長は、A氏が明らかに暴走しそうな時は止めることにしていましたが、それ以外は温かく見守るように徹していました。
また、社員に対しても「会長と副社長は社長を盛り立てるために全力で取り組み、経営には口出しせず補佐に徹する」という姿勢を明確に表明していました。
社員もそれに協力し、全員一丸となって後継者を盛り立てる空気が社内にできました。
また、後継者のA氏もそれに応えるべく一生懸命に働き、社員への礼も忘れず、社員からの信頼も厚くなっていきました。
B社の事業承継は成功し、現在も順調に経営が進んでいます。

\ 成功のポイント /

  • 親族外従業員への潔い承継
  • 古参幹部職員を巻き込んだサポート体制
  • 暴走時だけに限ったブレーキ役に徹する

創業社長にとって会社とは、自分の子供のように大切なモノだと思います。それを親族ではない人に譲るというのは勇気の要ることです。それが出来た前社長の思い切りや、新社長を信頼できたということが成功のポイントではないでしょうか。
さすがに完全に引退して一切口出ししないとは行かなかったようですが、他の信頼できる幹部社員とともにサポートする姿勢に徹することは、新社長にとっても信頼してもらえているという実感に繋がり、モチベーションにも良い影響があったと思います。
親族外承継は、ここには記載しきれない諸問題があります。金融機関借入がある場合の保証問題や、経営権の譲渡(具体的には株式の譲渡)価格の設定、その譲渡代金の調達能力が新社長にはあるか、等々です。
親族外承継まで視野を広げられれば、会社をたたまずに済むかもしれない経営者の方も多いと思います。ぜひ一度ご相談ください。

C社の失敗事例

C社の失敗事例

父A氏は不動産会社を一代で築き上げた100%株主の社長。
自社株の価値がかなり上がっていたので、父A氏は「生前に後継者である長男B氏に自社株を移転しなければ」と思いつつも、「まだ経営能力がない長男Bにたくさんの株を移転して良いのだろうか?一人前になってからでも遅くないのでは?」と不安になり、自社株の移転をしないままダラダラと時間が過ぎてしまいました。
ところがある日、父A氏が交通事故に遭い亡くなってしまいました。
自社株の評価額は7億円。相続税は3億円です。
長男B氏は相続税を払うことができず、会社をたたむことになってしまったのです。

\ 失敗のポイント /

  • 息子を信用し切れなかった
  • 株式の移転を躊躇してしまった
  • 不慮の事故による突然の相続発生時の悲劇を、自分事として想像していなかった

お亡くなりになったAさんは、高い営業能力を持った息子Bさんと二人三脚で会社を大きくして業績を向上させてきていました。しかしBさんは、営業は大好きでしたが計数管理や資金繰りなどの、中小企業の経営者としての仕事は二の次にしてしまっており、それがお父様の不満、不安に繋がってしまっているようでした。
しかし社長と言っても、最初から完璧な社長だった人はいないと思います。「だんだん社長になる」ものです。初めは不安でも、経営者としての仕事を少しずつでも渡し、覚えさせ、権限を委譲し、それと共に株式も移転させていく。時間がかかるようでそれが一番の近道だったりします。
一株当たりの価値が高いと贈与税を気にするあまり、株式の移転(贈与)には時間がかかることもあります。そんなときは、あえて新社長に有償で譲渡することも選択肢に入れてみればよかったかもしれません。
タダでもらった株式(=会社)より、お金を払って買った株式(=会社)の方が、断然やる気や、感じる責任の度合いが違ってくると思います。有償譲渡なら贈与税を気にすることもありませんでした。